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就業規則

就業規則とは

就業規則は、労働時間や賃金等の基本的な労働条件や職場の服務規律を定め、それを文書化した、使用者と労働者との間のルールブックです。
就業規則をネット、書籍などからそのまま引用して利用すれば良いとういう安易な考え方の経営者様を散見しますが、労働者契約法第7条に就業規則がある場合には、就業規則の基準が労働条件とされ、パート等に対して労働契約をきちんと交し合意していた場合のみ個別の労働条件を適用できます。ただし、労働者契約法第12条では、就業規則の基準に満たない労働契約は、その分は無効とされます。(平成20年3月1日施行)

したがって、事業場の実態に合った就業規則を定め、それを労使双方が良く理解することにより、労使間の無用なトラブル防止が可能になります。

トラブルの多くは、労働者が就業規則を知らない、殆ど理解していない、使用者が就業規則違反を知りながら破る、就業規則の内容がその事業場に合致していない等、未然に防げるものです。

就業規則の作成義務

常時10人以上の従業員を使用する事業場(法人・個人事業ともに)では、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署に届出が必要です。 常時10人以上とは、正社員、パート社員、アルバイト社員等を含めた数字です。本社で一括作成し届出したからといって完了ではなく、原則として事業場単位(支店・営業所等)での作成と提出が必要です。

なお、従業員10名未満の事業場には、就業規則の作成は義務付けられていませんが、従業員を解雇する場合には、就業規則等に解雇の具体的事由が記載されていて、かつ合理的な基準で解雇する場合のみ認められるものであり、単に勤務不良、経営の悪化等のみで認められるものではありません。
たとえ、小規模の事業場でも、当然に職場のルールは存在するのですから、その職場の実態に合致した就業規則を作成し、労使双方がその内容を正しく理解することが、無用な職場のトラブルを防止することにつながります。

また、就業規則は、事業場で働く全ての労働者について定める必要があります。
例えば事業場に正社員とパート社員がいる場合で、パート社員について正社員とは別の定めをする必要がある場合には、パート労働者のみに適用される就業規則を作成する等、その区分を明確にしておくことが大切です。

区分が不明確であると、労働者も自分が適用となる労働条件がどうなのかあやふやになってしまい、トラブルの原因になりやすいですね。よく揉める例としては、パートの有給休暇を与えないとか、本来、労働日数や労働時間等により、与えなくても良い日数を正社員と同様に与えてしまった例などがあります。

就業規則の記載事項

(1) 始業、就業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替で就業させる場合の就業時転換に関する事項
変形労働時間制を採用するときは、就業規則への記載が必要であります。
時間外労働や休日労働について、男女で異なる定めをするのは、男女雇用機会均等法違反ですし、パートタイマーも同様にパートタイム労働法で規制を受けます。

(2) 賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の閉めきり日、支払日、昇給に関する事項(臨時の賃金等は除きます)
時間外労働、休日労働、深夜労働には、割増手当の支払が必要です。
割増手当の計算の基礎となる賃金のうち、その計算の基礎から除かれるものには、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金があります。

(3) 退職に関する事項
定年退職の定めをする場合は、65歳以上の定めをしなければなりません。 ※助成金を利用できる場合もあります。
労働者を解雇する場合には、少なくても30日以上前に予告しなければなりません。日数の不足がある場合は、その不足する日数の平均賃金を支払わねばなりません。たとえば、20日前に予告したら10日分の平均賃金の支払いが必要です。
なお、解雇予告手当を支払ったからといって、その解雇が常に有効となるわけではありません。
解雇が、客観的、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権濫用とされて、解雇は無効になります。
退職に関する事項に、解雇の具体的な事由を記載することも義務づけられています。
この絶対的記載事項の内容は、採用する際に応募者から必ず問われる内容と一致しておりますので、採用時に就業規則を見せて説明すれば、省力化できますし、労働契約書を締結する場合において、契約書の内容を説明するにあたり、就業規則第○○条によると記載して、その部分を見せれば問題はありません。
ここで、就業規則を社員に見せるのに抵抗感がある経営者様がおいでになると思われますが、そもそも就業規則は、従業員に対して周知する必要があり、周知とは、従業員個々に配布するのでなく、いつでも見れる状態にあればいいのです。保管が心配ならば、社外持ち出し禁止とか、無断複製禁止等の制約をかけておけばよく、その規制まで法律でしばられているものではありません。

(1) 退職金制度を定める場合、適用される労働者の範囲、退職金の決定、計算、支払の方法、支払の時期に関する事項
税制適格年金は2012年3月に廃止されますので、退職金制度を導入する場合には注意が必要ですし、401Kを導入する場合にも注意が必要です。

(2) 臨時の賃金等(退職金を除く)及び最低賃金額を定める場合、これに関する事項
臨時の賃金等とは、臨時に支払われる賃金、賞与、1ヶ月を超える期間で算定される手当です。

(3) 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合、これに関する事項
その他の負担とは、社宅費、共済組合費等を労働契約により労働者に負担をさせる場合のことです。

(4) 安全衛生に関する定めをする場合、これに関する事項
常時使用する労働者が50人以上の事業場は、衛生委員会の設置、衛生管理者と産業医の選任が義務付けられています。業種によっては、安全委員会の設置も必要となります。

(5) 職業訓練に関する定めをする場合、これに関する事項
これを制定することにより、助成金の利用できる場合もあります。

(6) 災害補償及び業務外の疾病扶助に関する定めをする場合、これに関する事項
労災保険法を上回る災害補償を行う場合、健康保険法、厚生年金保険法で定める給付等以外の扶助、またはこれらを補充する扶助を行う場合は、これらに関する事項を記載する必要があります。

(7) 表彰及び制裁に関する定めをする場合、これに関する事項
表彰制度を導入している会社はまだまだ少ないですね。優秀な社員や他の模範となる社員を、積極的に表彰する制度をもっと採用するべきだと思います。表彰された本人はさらに頑張るでしょうし、他の社員も刺激を受けるでしょう。但し、公平な評価に基づくことが絶対条件ですがね。
減給制裁の限度は、1回の額が平均賃金の1日分の50%、総額が一賃金支払期における賃金の10%までです。

(8) 以上(1)から(7)号のほか、当該事業場の労働者の全てに適用する定めをする場合、これに関する事項●休職に関する事項、旅費に関する規定等です。

(1) 就業規則の目的、効力の発生時期、改正手続き等
(2) 社是、社訓、経営理念等
(3) 服務規律、社員としての心得等
(4) 慶弔規定や貸付金制度等の福利厚生に関する事項等
なお、任意的記載事項は、記載するかしないかは自由ですが、記載されれば労使共これに拘束されます。

就業規則の作成から届出まで

まず、使用者側は事業場の実態を把握し、労働時間は何時から何時までか、休日労働の状況はどうか、退職金は支給しているか、表彰や懲戒規定はどうなっているか等を調査して、これらを参考にして就業規則の本文を作成します。まず、絶対的記載事項、次に相対的記載事項です。本文は誰が見ても理解できるような明確で簡潔な表現にすることが大切です。あいまいな表現はトラブルの元です。

就業規則を作成すると、労使ともにこれに拘束されます。あまり実態とかけ離れたものを作っても、守れないのでは意味がありません。無理のないものを作るべきですね。
しかし、実態に合っていても、法令や労働協約の内容より下回ってはなりません。

例えば、事業場の実態が1日9時間労働でも、就業規則に1日9時間労働と記載はできません。
記載しても、労働基準法の1日8時間労働の規定が優先しますから、労働者は8時間労働すれば良いのです。また、労働協約の内容を下回る就業規則も作成できません。労使の合意で成立する労働協約の方が、使用者が一方的に作成できる(労働者の意見は聴きます)就業規則に、優先するからです。

なお、退職金規定、安全や衛生に関する規定等を別規程にすることも可能です。あまり就業規則が長くなった場合、別規程にしたほうが見やすいでしょう。別規程にする事項に制限はありません。

就業規則が出来たら、労働者の代表の意見を聴きます。労働者の代表とは、それぞれの事業場ごとに、
労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合
労働組合がない場合やあってもその組合員の数が労働者の過半数を占めていない場合は、労働者の過半数を代表する者のことを指します。

また、過半数を代表する者は、次のいずれにも該当することが必要です。
監督や管理の立場にある者でないこと
投票や挙手等民主的な方法で選出された者であること

労働者の代表が決まったら、代表から意見を聴きます。意見を聴くとは、意見を求めることで、同意を得る必要はありません。但し、使用者の都合で一方的に就業規則を改定しまったら、労働者側に不満のみが残ってしまい、労使関係もギクシャクしたものになってしまうでしょう。
できるだけ労働者側の意見を尊重し、お互いに納得した就業規則とすることが必要ですね。

労働者の代表からの意見聴取が終わったら、代表に意見書を作成してもらいます。
意見書には、就業規則案について意見と職名を記載し、記名捺印します。
そして、就業規則にこの意見書を添付して労働基準監督署に届出します。就業規則は、正副2部(提出用と会社控用)提出し、別規程があるときは、一緒に提出します。
なお、就業規則を変更した時も、労働者の代表から意見を聴き、意見書と一緒に就業規則を届出することが必要です。

就業規則を作成、届出したら、次は労働者に配布したり、事業場に掲示したりして、労働者に周知しなければなりません。また、就業規則を磁気テープ、磁気ディスク等に記録し、各事業場にその内容を労働者が常時見ることが出来る機器を設置しておく方法でもかまいません。就業規則が労働者に周知されれば、労働者はその内容を知らなかったとは言えませんので、その内容をよく理解することが必要です。

そして、労働者に周知したら、その後は労使とも就業規則を守ることが大切です。
例えば、「一賃金支払期に2回以上遅刻したら減給する。」という規程を設けても、それに該当する職員に減給処分をせずに長期間が経過した場合、それが職場の慣行と見られる可能性があります。そうすると、その後に遅刻した者に対して減給処分を行なっても職場の慣行が就業規則に優先して、減給処分が無効となることもあります。
就業規則は、職場のルールブックです。必ず守りましょう。
そして、実態に合わなくなった時は、速やかに変更すべきですね。